ウェルビーイングとは?意味・背景から考える、企業が取り組むべき“場づくり”

こんにちは、企業ヨガhive terraceのヒロコです
近年、「ウェルビーイング」という言葉が企業経営の中でも注目されるようになりました。
健康経営や働き方改革と並び、「これからの組織づくり」に欠かせないキーワードとして扱われています。
なぜ横文字?「健康」「幸福」こういった言葉ではダメだったの?
「新しい言葉」だといまいち何をすればいいか入ってこない。そんな声も聞いたりします。
ここであらためて、「ウェルビーイングとは?」を考えると、単に健康であることや一時的な幸福ではなく、身体的・精神的・社会的に満たされ、自分らしく良い状態で生きられている状態を指します。
そして重要なのは、それが個人の内面だけで完結するものではなく、人との関係性や環境といった外的要因と深く結びついている点です。
この考え方の原点は、1948年に世界保健機関が健康を「身体的・精神的・社会的に完全に良好な状態」と定義したことにあります。つまり、ウェルビーイングという概念自体は以前から存在しており、広い意味での“良い状態”を捉えるものとして位置づけられてきました。
では、なぜ今、日本でこれほどまでに重視されるようになっているのでしょうか。
一つの転機は2010年前後です。
経済成長だけでは測れない「豊かさ」に注目が集まり、幸福度指標などの議論が進みました。
さらに2020年前後には、働き方の変化やメンタルヘルスの課題が顕在化し、企業にとっても「人がどのように働き、どう生きるか」が重要なテーマとなりました。
その流れの中で、従来の健康経営も変化していきます。
身体的な健康管理から、メンタルヘルス、働きがい、人間関係といった要素を含む、より包括的なウェルビーイングへと広がっていきました。
ウェルビーイングは「個人の問題」なのか
ここで一つの疑問が生まれます。
ウェルビーイングとは、結局のところ個人の問題ではないのか。
健康や幸福は、本人の意識や努力によるものではないのか。
これまでの研究でも、幸福は主に個人の問題として扱われてきました。
家族関係や収入、健康状態、仕事満足度など、個人に紐づく要因が中心に分析されてきたのです。
しかし、この見方には限界があります。
私たちは「幸福を個人の問題として捉えすぎている」傾向があります。
本来、個人が自由に選択し行動できる環境があってこそ、
初めて「幸福は個人の問題」と言えるはずです。
つまり、制度や環境が整っていない状態で個人に責任を委ねても、
ウェルビーイングは高まりにくいということです。
見落とされがちな「場」の影響
では、個人のウェルビーイングに影響を与えるものは何でしょうか。
制度や福利厚生といった目に見える仕組みだけではありません。
実際には、次のような要素が大きく関わっています。
- 職場の雰囲気や空気
- 暗黙のルールや慣習
- 発言のしやすさ
- 人間関係や信頼関係
例えば、新しい提案をしたときに
「前例がない」
「その立場ではまだ早い」
といった反応を受ける場面。
これらは明文化されたルールではなくても、確実に行動を制限する要因となります。
このような環境の中では、個人がどれだけ努力しても、
本来の力を発揮することは難しくなります。
個人最適が生む逆説
さらに重要なのは、個人の最適化が必ずしも全体の最適につながらないという点です。
これは「共有地の悲劇」として知られる考え方で、
それぞれが合理的に行動した結果、全体として損失が生まれる現象を指します。
例えば、放牧地で農家が利益を増やすために自分の好き勝手に牧草を食べ続ける羊を増やし続けると、草が枯れてしまい、結果的に全員が十分に飼育できなくなる状況がこれにあたります。
組織においても同様に、個人の成果だけを追い求める環境では
- 協力関係の低下
- 心理的余裕の喪失
- 長期的なパフォーマンスの低下
といった問題が起こりやすくなります。
関係性がウェルビーイングをつくる
文化心理学の研究では、人の心は環境や文化の影響を受け、また人の行動が場を形成していくという相互作用が示されています。
社会関係資本が高い環境では、個人の幸福は周囲の人の幸福と強く結びつくことも分かっています。
つまり、ウェルビーイングは「個人単体」ではなく、「関係性の中で成立するもの」なのです。
ここまでを踏まえると、企業の役割はより具体的に見えてきます。
それはウェルビーイングの追及は、単に個人の健康管理の問題とするのではなく、
従業員が自然と良い状態でいられる“場”を設計することが大事ということです。
場とは、人が複数存在し、関わり合い、同じ環境を共有している状態を指します。
そしてその場は、個人を中心に同心円状に広がります。
- チーム
- 職場
- 組織
- 社会
ウェルビーイングは、この多層的な関係性の中で相互に影響し合っています。
では、その企業組織でできる「場づくり」とは具体的に何を指すのでしょうか。
一つは、制度や仕組みの整備です。
働き方の柔軟性や評価制度の見直し、メンタルヘルスへの対応など、明文化された仕組みはもちろん重要です。
しかし、それだけでは十分ではありません。
他にも重要なのが、日常的な関わりや関係性の質を高める取り組みです。
それを意識した企業の取り組みとしては例えば、
- 部署を越えたプロジェクトや交流機会の設計
- 偶発的なコミュニケーションが生まれるオフィス導線の工夫
- 定期的に顔を合わせる機会づくり
- 同じ体験を共有する時間の創出
といったものです。
特に、異なる部署や立場の人が自然に関わる機会は、組織の分断を防ぎ、相互理解を深めるうえで重要です。
これは単なる情報共有ではなく、「関係性の質」を高める施策といえます。
また、こうした取り組みの中には、必ずしも効率的とは言えないものも含まれます。
一見すると業務に直接関係がないように思える時間や活動もあります。
しかし、社会関係資本の観点から見ると、
こうした関係性の蓄積こそが、結果的に組織全体のパフォーマンスや持続性を支える基盤になります。
つまり企業に求められているのは、
「効率」だけでなく「関係性」も含めた場の設計です。
では、企業での場づくりにはどのような方法があるのか
場づくりのアプローチはさまざまですが、共通しているのは
「人が同じ空間・時間を共有する機会を意図的につくること」です。
例えば、
- 社内イベントやワークショップ
- 部署横断のプロジェクト
- カジュアルな対話の場(1on1や雑談スペース)
- チームビルディングのためのアクティビティ
そしてその中でも、特に効果的なのが、身体を使った共通体験です。
言葉だけのコミュニケーションとは異なり、同じ動きやリズム、呼吸を共有することで、自然と心理的な距離が縮まりやすくなります。
また、身体に意識を向ける時間は、日常業務から一度離れ、
役職や立場を越えてフラットな状態をつくるきっかけにもなります。
こうした「同じ体験をする」という要素は、
場の雰囲気や空気を変えていくうえで非常に有効です。
企業ヨガができること
企業ヨガは、単なる運動やリラクゼーションではありません。
同じ時間を共有し、呼吸や身体感覚に意識を向けることで、
自然と場の空気や関係性に変化をもたらします。
- 部署や立場を超えた共通体験
- 心理的な余白の創出
- コミュニケーションの促進
こうした変化は、制度だけでは生まれにくい「空気」に働きかけるものです。
実際、ヨガクラスやイベント後のアンケートには「普段話さない部署内の人とも一緒に盛り上がった一体感がよかった」とか、「他部署の人と交流の機会になった」という声が必ず含まれていて、場の形成に役立っているんだなと感じます。
hive terrace でできる取り組み
福利厚生・リクリエーションとしてのワークショップ・イベント
- デスクワークによる不調(肩こり・腰痛など)の改善、心身のセルフケアを目的とした出張ヨガプログラムの提供(会議室・研修室などで実施可能)
- ストレス軽減や集中力向上に役立つ呼吸法・マインドフルネスプログラム
- 健康・睡眠・メンタルヘルスをテーマとした座学+実践型の研修クラス
人事研修としての健康研修
- 定期的なヨガクラスの開催
- メンタルヘルスのための心の座学と呼吸法やマインドフルネスの実践プログラム
- ストレスケアとパフォーマンスアップのためのマインドフルネス研修
- 部門・役職者別など対象者に合わせた内容設計の健康プログラム
おわりに
ウェルビーイングは、もはや個人だけの問題ではありません。
そして企業は、その重要な一部を担っています。
個人に委ねるのではなく、
個人が健やかに働ける環境をどうつくるか。
その第一歩として、
「場を整える」という視点を取り入れてみてはいかがでしょうか。
企業ヨガは、その実践的なアプローチとして、
組織のウェルビーイングを高める一助となります。
